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カザン都市情報

タタール共和国の首都カザンは、ヴォルガ川中流左岸、ヴォルガ河とカマ河の合流点よりやや上の丘陵上にあり、人口凡そ100万人の15世紀前半に開かれたかつての「カザン・ハン国」の首都でした。「タタールの軛」で有名な「キプチャク・ハン」の首都サライから、王位継承争いに敗れたウルグ・ムハンマドという王族の一人がこの地に至り「カザン・ハン」を建てたのがこの町の始まりです。カザンはタタール語で「大釜」という意味を持ちます。 古くはモンゴル系のタタール人が支配した一体で、イヴァン雷帝の時代からロシア領、ソ連時代を経て現在に至っています。

カザン・クレムリンThe Kazan Kremlin

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カザン・クレムリンの起源に関する詳細な文献は残されていません。公式には10世紀初頭に建設されたとされており、建設当初はタタール語で「ケルマン」と呼ばれていました。研究者により建設は10-12世紀と意見が分かれています。イスラム系民族のブルガール人が入植し、カザン=ハン国が建立されたクレムリン北部のカザンカ川の沿岸にて、当時の木造のクレムリンの建設跡が発掘されるにとどまっています。
13-15世紀はキプチャク・ハン下のカザン公国、また15-16世紀初頭にかけてはカザン・ハンの拠点として重要な役割を果たしました。
1552年にイワン雷帝がカザン・ハンからカザンを奪取し(カザン包囲戦)、イワン雷帝は修復を兼ねカザン・クレムリンの再建を指示します。この再建に活躍したのが、モスクワの赤の広場の「たまねぎ聖堂」ワシーリー聖寺院を建立した建築家、ポストニク・ヤコヴレフとバルマ(またの名をイヴァン・シリャイ)でした。木や粘土で造られたクレムリンが白石造りの姿として生まれ変わるのは、17世紀初頭になってからでした。この時初めて、ブラゴベシェンスキー聖堂などのロシア正教会の諸教会がクレムリン内部に作られましたが、カザン・ハン時代に造られたイスラム教のモスクなどもそのまま残されました。なお、1672年の火山の大火災後には、モスクワから建築家が派遣され、クレムリンの城壁のほか聖堂などもレンガ造りへの改築が行われています。
その後も帝政ロシアにおい域での行政・文化的な中心地であり続けました。ナポレオン戦争時には大砲の為に沿ヴォルガ地修復工場として利用される等の紆余曲折を経て、19世紀の終わりには街並みと調和した「複合建築施設」の趣も備えていたといわれています。
しかしロシア革命後、クレムリン内の鐘や修道院の祈祷所など、かなりの宗教施設の多くは破壊されてしまい、1960年まで復元活動すらも行われていませんでした。ソ連崩壊後にようやく1992年にタタール共和国の大統領官邸として活用されるようになり、1994年には長年の修復活動がようやく完了破壊と修復を繰り返した「城塞」の意味をもつクレムリンが、ついに観光施設としての利用されるに至りました。2,000年にはユネスコ世界遺産に登録されています。

モスク「クル=シャーリフ」 Kul Sharif Mosque

モスク「クル=シャーリフ」
モスク「クル=シャーリフ」

抜けるような青空色が特徴的なイスラム教モスクで、カザンのシンボル。1996年から2005年にかけて再建された、ヨーロッパ最大級のモスク1552年のカザン包囲戦時に、嵐と火事で崩壊したモスクを、包囲戦で命を落としたタタールのサイード「クル=シャーリフ」の名にちなんで再建されました。デザインは1995年に一般公募で選ばれたもので、地上58メートルに4つミナレットが、また2つの小ミナレットが39メートルの高さで輝いています。内部は豪華絢爛そのもので、大理石や花崗岩はウラル地方から、またイランから遅れた絨毯、そのほかステンドグラス、モザイクや金箔なども惜しみなくしつらえられています。
金曜モスクとしての機能を持ち、実際にカザンのイスラム教徒にとって、大切なの礼拝の場となっています。

ブラゴベシェンスキー聖堂Annunciation Cathedral

ブラゴベシェンスキー聖堂
ブラゴベシェンスキー聖堂
ブラゴベシェンスキー聖堂

「受胎告知聖堂」の意味で、16世紀に建造されました。ポストニク・ヤコヴレフ、イヴァン・シリャイ両建築家の手による教会、ソ連時代には火災や政府による破壊活動もありましたがそれを耐え抜き、2005年に改修が完了した聖堂です。帝政期、聖堂では24,000キロを超える鐘がキリスト教徒の祈りを支えていましたが、1928年、ソ連政府によって破壊されてしまいました。 カザン市最大のロシア正教会の聖堂で、イースターやクリスマスには多くの信徒が集い、祈ります。

チャクチャク ミュージアムChak-chak Museum

チャクチャク ミュージアム
チャクチャク ミュージアム
チャクチャク ミュージアム
チャクチャク ミュージアム
チャクチャク ミュージアム

カザン(タタール)の代表的な郷土料理の一つに、「チャクチャク」というお菓子があります。パイ生地を揚げ、ハチミツをかけて食べる濃厚な料理で、 家庭やお店によって味や風味が全く異なることが特徴的なお菓子です。日本で言えばかりんとうに近い名前がついたこの博物館で、出来立てのチャクチャクと紅茶を楽しみつつ、タタールの料理と文化についてスタッフが丁寧に語ります。チャクチャクの作り方を教えて貰える他、試着可能なタタール民族衣装もあります。

レーニン広場

市の中心部にある広場で、広場の中央にレーニンの銅像と噴水があり、公園の周囲には医科大学、ホテルや電信電話局などがあります。夏には綺麗な花が咲き、噴き出す噴水で人々が涼を楽しむ風景があるこの広場も、冬には氷祭りの会場となり、クリスマスシーズンには大きなモミの木が飾られます。

カザン ファミリーセンターFamily Center Kazan

カザン ファミリーセンター

カザン市内の見どころとして異彩を放つのがこの家族センター。「何故このデザインに」という声も多いこの建物は2013年に造られた市民センターで、結婚式場としてよく用いられ、「結婚センター」と呼ばれることも。「家族の幸せがカップいっぱいになるように」という願いからこのようにデザインされました。内部には展望台もあります(有料)。

バウマン通りとボゴヤヴリェンスキー鐘楼
Bauman Street & Epiphany Cathedral Bell Tower

バウマン通りとボゴヤヴリェンスキー鐘楼
バウマン通りとボゴヤヴリェンスキー鐘楼

一つの町を旅して知ろうと思うと、地元の人々の生活を見るのが一番近道だと言われます。バウマン通りはカザンのメインストリート。お買いもの、お食事や映画館、デート…あらゆる目的で親しい人たちが集うカザン市民の憩いの場です。ここでは素敵なカフェ、レストランの他、必見はバウマンの中心に位置する高さ74メートルのボロヤヴリェンスキー教会の鐘楼(しょうろう)。最上階の展望台から見晴らすバウマン通りの先に見えるクル=シャーリフは神秘の一。記念撮影にも最適です。

モスク「アリ・マルジャニ」Märcani Mosque

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モスク「アリ・マルジャニ」 

市内の中心部にあるロシアの領土になってから初めて造られたイスラム教モスクで、250年の歴史があります。館内は非常に静かで、一般信徒が入って祈りをささげています。ソ連時代のカザンでは、稼働するモスクはここだけでした。深い緑色と三日月のミナレットが目印。お祈り中でなければ、観光客も入って見学することができ、また施設内ではイスラム教のグッズも購入出来ます。

全宇宙寺院Temple of All Religions

全宇宙寺院

宗教に寛容なカザンらしい人気の観光地の一つで、実際には博物館。別名「全宗教寺院」。奇抜な建物の中に入ると、 世界中の宗教の展示品が並んでいます。(キリスト教、イスラム教、日本やチベット仏教、ユダヤ教、その他の土着終局等々…)
2017年に火事があり、まだ完全に修復が終わっていませんが、ロシアらしいデザインにカザンらしい宗教的なテーマを持ったこの寺院は必見スポットの1つです。

カザン郊外観光

スヴィヤースクSviyazhsk

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スヴィヤースク
スヴィヤースク

カザンから車で60キロほどの距離にある半島で、カザンに行かれるなら併せて必ず行くべき観光地の一つです。
1552年にロシアの“雷帝”イヴァン三世がカザンのタタール軍を攻める拠点として要塞が築かれた半島で、現在はウスペンスキー聖堂や貴重な教会群や修道院が残された、貴重な村となっています。2017年に世界遺産に登録されました。
この教会群も含め、毎年ロシア人や多くの外国人観光客が訪れますが、現在も200人強の村民が住んでいます。
見所はウスペンスキー聖堂や木造トロイツカヤ教会、生神女聖堂など。

ボルガールBolgar

古代都市「ボルガール」観光
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古代都市「ボルガール」観光
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ボルガール イスラム教受容記念博物館イスラム教受容記念博物館
ボルガール ハン宮殿遺跡ハン宮殿遺跡
ボルガール ホワイト・モスクホワイト・モスク
ボルガール 世界最大のコーラン世界最大のコーラン
ボルガール 東の霊廟(聖ニコラオス聖堂)東の霊廟(聖ニコラオス聖堂)

カザンから南東へ車で200キロ弱のところにあるイスラム教遺跡の町で、ヴォルガ河に面していることから水中翼船でカザンと行き来することも出来ます。
キリスト教のスヴィヤースクと対をなすイスラム教をテーマとした観光都市で、カザンに行かれる方にはこちらも是非お勧めしたいです。7-9世紀ごろにイスラム教国ヴォルガ・ブルガール人が“ブルガール”という名称で首都として造られ帝政ロシアに征服されるまで続いていました。赤/黒の館、大/小ミナレットやハン宮殿跡等遺跡群の他、イスラム教受容記念博物館は中世のイスラム建築が残された世界最北の施設で、ここには「世界最大のコーラン」も展示されており、見逃せません。
タージマハルに見まがうばかりの迫力ある“ホワイト・モスク” (テトラゴン)は現在もイスラム教徒の巡礼聖地として利用されています。
ミナレットが非常に印象的な遺跡群はボルガル遺跡と呼ばれ、2014年に世界遺産に登録されています。

★番外 料理紹介 ~タタール料理~

エチパチマク

エチパチマクエチパチマク
エチパチマクエチパチマク

皆さんも良く知る「ピロシキ」に近く、タタール料理の代名詞。市内のテーマパークに巨大な記念碑も。
カフェやレストランでは、中身の具が選べますが、生地はピロシキとは全く異なります。

アズー

アズー

ポテトと玉ねぎ、牛肉(又は羊肉)、トマトを和えて炒めたタタールの代表的な料理。塩漬けきゅうりを加えるのがポイント。香草やニンニク入りのアズーを出すレストランも多く、ロシア料理に比べると少し風味の強い料理です。

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